「逆回り」で世界一周へ

ヨットによる、追い風を利用する東回りの世界一周も大変な偉業ですが、斉藤は今回のChallenge 8で風・海流・波に逆らうという更に過酷な西回りの航海に挑戦しでます。

西回りによる世界一周航海は空気が薄い中での過酷なエベレスト登山に匹敵しますが、これに頻繁な強風が加わります。また前回と同じく今回も休息・補修・補給のための寄港を一切行わない究極の挑戦です。

過去にこのような偉業を成し遂げたシングルハンドセーラーは数名しかなく、その中でも斉藤の年齢で成し遂げた者はいません。この航海が終わる時、彼は75歳になっています。

2008年10月2日に剣崎のスタートラインを切り、に横浜港を出港、西回りの航行で26,500海里、2009年5月末に横浜港へ帰港する予定です。また斉藤の帰港する2009年は「横浜港開港150周年」にあたります。横浜港は日本が西洋へ門戸を開いた場所であり、またヨットをレジャーとして楽しむことが始まった場所でもあります。

この7ヶ月にわたる単独無寄港の挑戦は全てのスポーツにおける揺るぎない記録として歴史に刻まれるでしょう。

シングルハンド(単独)レースは「人類の歴史において最も過酷で危険な持続的スポーツ競技」と表現されたことがありますが、斉藤はこのレースを3度も完走しました。しかしこうしたレースにでさえ、次のレグ(区間)へ向かう前に数日間から何週間もかけて艇の補修や心身の休息をするための寄港地が数箇所ありました。

他のセーラーが誰も行おうとしないというだけの理由ですが、「Challenge 8」はレースではありません。しかし斉藤にとっては、彼が過去最短で世界一周を成し遂げた187日間という記録を破るため、時間との競争となります。そして彼は2009年1月7日、航海の途上で75歳の誕生日を祝うこととなります。

セーリング プラン

出航 2008年10月2日 Kenzaki灯台( 横浜港の近く )
帰港予定 2009年5月末 横浜ぷかり桟橋
(2009年6月2日の横浜開港150周年のイベントまでに戻る予定)
セーリングディレクション 西回り(「逆回り」)
ラムライン(航程線) 26,500 海里 (ノーティカルマイルス)
実航海距離 約40,000 海里 (ノーティカルマイルス)
通過する海域 北太平洋→南太平洋→インド洋→南大西洋→南太平洋→北太平洋
主な帆走海域 日本、ニューギニア、タスマニア、オーストラリア、喜望峰(南アフリカ)、フォークランド諸島、ケープ・ホーン(アルゼンチン)、チリの西海岸、ガラパゴス諸島の南、マルケサス諸島、マーシャル諸島の西、日本
航海中の難所 ケープ・ホーン、インド洋(向かい風と荒波のため)、南オーストラリア
出航時の年令 74歳と10ヶ月
帰航時の年令 75歳と5ヶ月