The Corinthian Ideal

斉藤は最小限の航海装備の小型艇を駆使し外洋航海を成功させる優れた「Corinthianセーラー」として世界より評価を得ています。「Corinthian(コリントの)」とは、セーリングのルーツである初期の姿、厳しく冒険的なセーリングを表す語です。最小限の装備しか持たない当時の航海者達が代わりに信頼していたのはシーマンシップ・勇気・努力の末に培われた経験であり、斉藤のこれらの点が評価を得ています。

Sunset

セーリングプロフィール

ベテラン外洋セーラーの斉藤実はヨット界で最も権威がありかつ過酷な外洋レースである単独世界一周レースにこれまで3度参加してきました。このレースは当初の「BOCチャレンジ」から「アラウンドアローン」、2006年には「5オーシャンズ」と名称を変えています。また前回の無寄港単独世界一周を含み7回の単独世界一周航海を成功させ、国際的な賞賛と世界記録を手にしました

絶え間ない航海により最も経験ある外洋セーラーとなった斉藤が積み上げた265,000海里を超える航跡は地球から月までの距離に等しく、今後も伸び続けます。

斉藤は北米、ヨーロッパ、オーストラリアのセーリングファンには非常によく知られる存在ですが、近年彼の国際的な評価への関心が日本国内においても高まってきています。

2007年1月、斉藤はブルーウォーターメダルを受賞し、海洋冒険家として最たる者と賞賛を受けました。

また米国ロードアイランド州ニューポートにてシングルハンドセーリングの殿堂入りも果たしました。

いずれの場合も、アジア人としては初の栄誉に輝きました。

右:斉藤と、同じくシングルハンドセーリングの殿堂入りを果たしたバーティ・リード氏。殿堂入りの式典にて(米国ロードアイランド州ニューポート)。残念ながら、リード氏は2006年末長年の病気のため亡くなりました。

Saito and Bertie

 

斉藤自身ならびに酒呑童子Ⅱの航跡については、2003年角川書店より出版された "孤闘" にてお読みいただけます。

斉藤実の略歴

1934年1月7日 東京の下町・浅草に生まれる。

1930年代後半 幼少時に結核を患う。後に精力的な運動により病を克服。

1948-67年 登山に傾倒する。日本で最初に谷川岳に登頂。

1973年 39歳でヨットを本格的に始める。鳥羽パール(油壺—鳥羽)など日本付近でのレースに出場。

1986年 オーストラリアで 43 ft のヨットを購入。メルボルン − 大阪レース(ダブルハンド)出場するが途中でリタイヤ。

1988年 シングルハンドで日本からシドニーに航海中、台風1つ、サイクロン2つに遭遇するが乗り切る。

1988/89年 オーストラリア一周シングルハンドレースに出場。第三レグ、ダーウィンにて心臓発作で倒れリタイア。

1990年 オークランド − 福岡レースに出場(GHS部門3位)。

1991年 50 ft クルージング・ヨットを購入しレース用に改造。シドニー − ニューポート(米東海岸)12,000海里を単独航海。BOC単独世界一周レースの出場資格を獲得。

1990-91年 第3回BOC単独世界一周レースに出場。出場クラス第3位(197日20時間)

1994年 日本 − 太平洋横断 − パナマ運河 − チャールストン(USA東海岸BOCレーススタート地)単独航海。

1994-95年 第4回BOC単独世界一周レースに出場(2度目の挑戦)出場クラス第6位。レース終了後、アメリカ東海岸 − 英国 − 地中海 − インド洋 − 日本を単独航海して帰国。(地球連続2周達成)

1997年 再度 BOCレースに参加するため、 日本 − オーストラリア − 南アフリカ − 英国 単独航海。

1998年 単独大西洋横断レースに出場し、完走。(米国サウスカロライナ州チャールストン)

1998-99年 「アラウンド・アローン」と改名した第5回単独世界一周レースに出場(3度目の挑戦)。65歳で最高齢出場者となり、203日で完走(クラス2第5位)。

2001年 帰路ケープタウン、南アフリカ、タスマニアに寄港。回航を含め地球6周を記録。

2002-03年 ルール改正による大きな艇との競争からは退き、第6回アラウンド・アローンレースは引退。レース本部スタッフとして支援。同時にクラス2優勝者への銀杯 「酒呑童子」杯を寄贈。

2003年 外洋レーサー、斉藤実の航海と半生が克明に描かれた本『孤闘』を出版。

2004年10月-2005年6月 東回り単独無寄港世界一周を成功させる。これにより「最高齢」(71歳)、「シングルハンドによる最多」(7回)という記録を樹立。

2006年7月14日 米国ロードアイランド州のニューポートヨット博物館の殿堂入り。

2006年 米国ロードアイランド州ニューポートより名誉賞を受賞

2007年1月16日 クルージング・クラブ・オブ・アメリカより2006年アマチュア・ヨットマンとして最高栄誉のブルー・ウォーター・メダルを授与される。(84年に及ぶ歴史において初のアジア人受賞者)

2007年 ギネスブックに2005年に達成した「東回り単独無寄港世界一周、最高齢」で認定される。